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貴重なキリシタン史料、バチカン図書館「マレガ・コレクション」をめぐるシンポジウム


バチカン図書館に保管されている日本近世の貴重なキリシタン関係史料「マレガ・コレクション」をめぐるシンポジウムが、9月12日、ローマで開催された。

マレガ・コレクションとは、サレジオ会宣教師マリオ・マレガ神父(1902-1978)が戦前に大分県で集め、戦後バチカンに送った古文書の蒐集で、長年その所在が確認されていなかったが、2011年、バチカン図書館の再整備の折に発見された。

マレガ神父は北イタリア・ゴリツィア県の出身で、若くしてサレジオ会に入会、1927年に司祭に叙階された後、1929年末に初期のサレジオ会宣教師の一人として日本に向け出航、翌1930年初頭に来日した。

マレガ神父の最初の司牧先は九州で、宮崎、高鍋を経て、大分に赴任した。かつてキリスト教の伝来と共にその信仰と文化が花開き、禁教後は一転して迫害と殉教の中心となった九州の地で、マレガ神父はキリシタンや殉教者、その子孫らの歴史に深い関心を寄せることになった。

日本のキリスト教の歴史はもとより、日本の文化・風習を研究する目的で、マレガ神父は古今の幅広い史料を収集した。

これらのうち、江戸から明治期にかけての社会や、宗教、歴史、文学、美術等をテーマにした古文書・草紙・版画などは、マレガ文庫として、現在ローマの教皇庁立サレジオ大学の図書館に保存されている。

一方、同神父が戦後直接ローマに送った古文書は、これらの蒐集の中でも特にキリスト教禁教下の地域共同体管理の状況を示す貴重な史料群で、これが近年バチカン図書館で発見された「マレガ・コレクション」である。

「マレガ・コレクション」は、1万点以上からなり、21の袋に分けられている。その古文書群は、マレガ神父が大分赴任中に臼杵藩旧家臣を通じて知り、古書店から購入したものが中心となる。これらの史料からは、豊後・臼杵藩のキリスト教禁教下の社会と、棄教・改宗したキリシタンの子孫たち(類族)の生活の生々しい一端を垣間見ることができる。

同コレクション発見後、バチカン図書館と日本の人間文化研究機構・国文学研究資料館によって、マレガ文書の調査・整理・保存・デジタル化を目的とした「マレガ・プロジェクト」が発足、現在も順調に作業が続いている。

シンポジウムに先立つ9月11日には、バチカン図書館システィーノの間で、マレガ・コレクションの一部が開封・公開された。

「『マレガ・プロジェクト』シンポジウムin バチカン-キリシタンの跡をたどる-バチカン図書館所蔵マレガ収集文書の発見と国際交流」と題された12日のシンポジウムでは、日本におけるキリスト教伝来と受容と開花から、その後の禁教と厳しい迫害の歴史を展望。

特に、江戸時代の豊後(ぶんご)臼杵(うすき)藩で、キリスト教禁教後、棄教・改宗したキリシタンの子孫らを代々にわたり出生から婚姻、死に至るまで監視した、徹底した共同体管理システムの概要が、マレガ神父がもたらした古文書を通して紹介された。

さらに、マレガ神父の書簡等を通じて、同神父が来日し九州に派遣されて間もない頃から、すでに日本のキリシタンの歴史に情熱的な関心を寄せ、精力的に史料を収集していった様子、また戦時中のこれらの文書保管への配慮、戦後1953年に史料をバチカンに送った経緯などを明らかにした。

また、現在バチカン図書館で進められているマレガ文書の整理・修復・デジタル化などにおいて、バチカン側と日本の専門家チームとの共同作業が、それぞれの伝統と最新技術の交換を通して、西洋と日本のかけがえのない文化交流を生んでいることなどが報告された。