2017-09-24 14:36:00

フィローニ枢機卿、東日本大震災の被災地で祈る


教皇庁福音宣教省長官フェルナンド・フィローニ枢機卿は、9月22日、東日本大震災の被災地を訪問した。

9月17日から始まったフィローニ枢機卿の日本司牧訪問は、後半に入り、視察と交流の場を西日本から東日本へと移した。

22日、大阪から仙台に到着した枢機卿は、福島県へ向かい、南相馬市の小教区やカリタスの活動拠点を訪問。

震災の傷跡を留める県内の諸地域をめぐりながら、復興の現状を見つめた。

フィローニ枢機卿はこの訪問を通して、震災で亡くなったすべての方々と被災市民、支援と復興に取り組む人々のために祈った。

夕刻、仙台教区のカテドラル、元寺小路教会でとり行われたミサの説教で、同枢機卿は、今回、被災地の訪問で、まだはっきりと残る震災の影響を目の当たりにして、いかに多くの人の命が犠牲になり、どれだけの家族が引き離され、熱心な努力で築いたものを失い、社会や宗教共同体が大きな変化を受けたかを思い、深い悲しみを新たにしたと述べた。

こうした現実を前に、「なぜ世界には悪が存在するのか。この悲しい現実をどう説明したらよいのか」と人は問うことになるが、いつでもすべてのことに対して人間が解答できるわけではない。神を信じる者にできる唯一賢明なことは祈りだけであり、こうして、ヨブのように神に自分をゆだねることであると話した。

使徒聖パウロは「コリントの信徒の手紙1」で、キリストが悪の象徴である死のとげを取り去ったことを説いていると枢機卿は指摘。イエスはその死の神秘を通して、人を恐れさせる死のとげを取り去り、人間を恐れから解放したと語った。

「イエスは神の国を宣べ伝え、その福音を告げ知らせながら、町や村をめぐって旅を続け」(ルカ8,1)病気の人たちを癒したことをフィローニ枢機卿は観想。

イエスは人々に出会う時、彼らに近づき、話しかけ、その霊の力をもって人々を心身の病気を癒したが、これこそが、教会があらゆる場所で、あらゆる機会にすべきことと、教会関係者や信者たちの宣教精神を励ました。

フィローニ枢機卿もまた、ここ仙台で人々と出会い、寄り添い、希望と信頼、連帯と善の言葉を語り、苦しみの中にも、皆を心にかけ愛してくださる御父がおられ、イエスにおいて神はすべての困難を分かち合われることを伝えたかったと話した。

枢機卿は仙台教区と地域のすべての人々を聖母の保護に託すと共に、震災のすべての犠牲者と遺族の方々にキリストが慰めと勇気を与えてくださるよう祈った。

 








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