2017-07-25 15:51:00

教皇、難病の英乳児と両親のために祈る、尊厳死めぐる法廷闘争終了に


先天性の難病のために自力での生命維持が不可能と診断された英国の乳児をめぐり、尊厳死を提案する病院医師団に対し、両親は米国での実験的治療を希望し、法廷で争っていたが、7月24日、両親は法廷闘争の断念を発表した。

バチカンのグレッグ・ブルク広報局長は、「教皇フランシスコは、チャーリーちゃんとご両親のために祈り、特に今、深い苦しみの中にあるご両親に精神的に寄り添っておられます。教皇は、彼らが神の慰めと愛を見出すことができるよう、皆で心を合わせて祈って欲しいと願っています」と声明した。

チャーリー・ガードちゃん(2016年8月生まれ、現在生後11ヶ月)は、昨年秋、先天性「ミトコンドリアDNA枯渇症候群」の診断を受けた。自力呼吸ができないために生命維持装置をつけ、ロンドンの病院で入院している。医師団はチャーリーちゃんが脳に回復不能な重篤なダメージを負っていることを指摘し、生命維持装置を外し、尊厳死を迎えさせることを両親に勧めた。

チャーリーちゃんの両親、クリス・ガードさんとコニー・イエーツさんは、これを拒否し、国外での実験的治療に希望を託した。英高等法院は延命治療の中止を求める医師団の勧告を支持。英国最高裁判所、欧州人権裁判所(仏ストラスブール)は、両親の上告を棄却、尊厳死を認めた。

乳児の尊厳死をめぐって世論の関心は高まった。教皇フランシスコは、子どもに寄り添い、治療を続けたいという両親の願いを尊重すべきと述べ、バチカンが運営する小児科病院、バンビーノ・ジェズ病院での受け入れを申し出ていた。また、米国のトランプ大統領も支援の意を表明していた。

再び、英高等法院で、両親が望む治療をめぐり、その有効性について新たな証拠の審査が始まったが、両親はチャーリーちゃんの最新の検査結果を通し、すでに手遅れであるとの認識から、法廷論争に終止符を打つことを決断した。

両親は、最新の検査の結果、チャーリーちゃんは脳死の状態ではないが、筋肉のダメージが著しく、回復不可能な段階にあると明かし、もっと早く治療を受けさせることができたならばと苦悩を表した。

「わたしたちは最後の日々をチャーリーのそばで過ごすことになりました。2週間後、彼は1歳の誕生を迎えますが、残念ながらそれには間に合わないでしょう」と両親は述べ、「君を救うことができなかったことがわたしたちはものすごく辛い。でもわたしたちは君を深く愛しているし、これからも愛し続けるだろう」とチャーリーちゃんに呼びかけた。

 








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