教皇フランシスコは、12月11日、日曜正午のアンジェラスの祈りに際し、戦争や紛争、テロ行為や破壊に苦しむ多くの人々のために祈ると共に、世界中の人々が平和の文明を選択し、いち早い世界平和の樹立に献身するよう呼びかけられた。
「シリア全国、特にアレッポを忘れないようしましょう。多くの人々が戦争と破壊に苦しんでいます。わたしは毎日の祈りの中で彼らに寄り添っています。アレッポは古い歴史と豊かな文化に彩られた重要な町です。そこには多くの家族や、子ども、お年寄り、そして病者たちが大きな恐れの中に生き続けています。
残念ながら、わたしたちは戦争や紛争のニュースに慣れてしまい、ある意味で無感覚、無関心になっています。しかし、今、豊かな歴史と文化、特に古い信仰の国、シリアを忘れてはなりません。この素晴らしい国が戦争により完全に破壊されてしまうことを許してはなりません。多くの偽りや不正がまかり通っています。シリアにアレッポに平和を祈りましょう。」
また、教皇はエジプトのキリスト教教会における爆弾テロに言及、犠牲者のために祈られた。
「エジプト・カイロの教会で起こったテロ行為の犠牲者たちのために祈りましょう。カイロだけではなく、いたる場所で同様の蛮行がなされ、多くの犠牲者や負傷者が出ています。
いろいろなところにはびこる暴力に対する唯一の答えは、神への信仰、人間の尊厳に対する尊重です。」
教皇はアンジェラスの祈りの前に、この日の聖書朗読箇所をめぐり次のように説教された。
「今日はキリストの降誕を準備する待降節の第三主日を記念します。ミサ中に朗読された書簡の中で、聖パウロはその深い意味を説明しながら、主において喜びなさいという呼びかけを繰り返しています。
聖パウロが呼びかける喜びは、表面的な喜びでも、感情的な喜びでもありません。また、この世的な喜びでも、消費主義的な喜びでもなく、心の奥底から湧き上がる本物の喜びです。わたしたち一人ひとりがこの真の喜びの意味を探り、それを味わうことが肝要です。
この喜びは、わたしたちの存在の最も奥深いところにある喜びです。わたしたちはイエスの到来を待ちます。しかし、ベツレヘムでマリアから誕生すると約束された救い主イエスは、この世に救いをもたらすために、実はもうわたしたちの間に来ているのです。
神なしの悲惨な状態にあるこの世界を前に、イザヤが預言しているように、救い主の到来はすべてを変革し、新たにするでしょう。
神はわたしたち人類を罪の奴隷制から解放するために歴史の中に入られました。わたしたちと運命を共にされ、わたしたちの傷をいやし、新しい生命を与えるためにわたしたちの間に住まわれました。聖パウロが言う真の喜びは、神の愛、神の救いの働きかけの実りなのです。
ですから、すべてのキリスト者はこの喜びに与るよう招かれています。喜びのないキリスト者は、何かが欠けたキリスト者だと言えましょう。この真の心の喜び、内的な喜びが、わたしたちに悲観的な状況の中でも前進する勇気をもたらしてくれるのです。
主は外的・内的なあらゆる束縛からわたしたちを解放し、その栄光の中の再臨の時にわたしたちの喜びも完全なものとなるよう、今、忠実や、忍耐、堅忍の道を示してくれるのです。
主の降誕祭が近づいています。わたしたちの周りにもいろいろな飾りやしるしがその到来を告げ知らせています。この聖ペトロ広場にも巨大なクリスマス・ツリーの傍らに馬小屋が造られました。これらの外的なしるしは、主がいつもわたしたちの心の扉をたたき、わたしたちのすぐそばにおられることを思い起こさせています。わたしたちの兄弟姉妹、特に弱い人や貧しい人の中に、主がおられることを教えてくれるのです。
近づくクリスマス、救い主の誕生の喜びを、わたしたちも他の人々、特に病気に苦しむ人や貧しい人に希望と慰めをもたらすことを通して、共に分かち合いたいと思います。」
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