2016-06-30 17:54:00

聖ペトロ・聖パウロ大祝日:教皇「祈りはキリスト者を閉鎖から救い出す」


カトリック教会の典礼暦は、6月29日、使徒聖ペトロ・聖パウロの大祝日を迎えた。

教会の礎、ローマの保護者である両聖人を祝うこの日、教皇フランシスコはバチカンで司式したミサの中で、最近任命された首都大司教らに授与するパリウムを祝別された。

パリウムは、幅4~6センチの白い帯状の肩掛け。聖アグネスの日(1月21日)に教皇によって祝別された子羊の毛を織って作られる。表面の6箇所に黒い絹糸で十字架が刺繍されている。カズラ(祭服の一種)の上から両肩にかけるこの白い毛織物は、迷った子羊を肩に乗せた「善い羊飼い」の姿を象徴している。

毎年、聖ペトロ・聖パウロの日に、教皇が首都大司教らにパリウムを託すのが伝統となっている。今年は世界各国25人の首都大司教が教皇とミサを共同司式した。

また、ミサには正教会のエキュメニカル総主教庁の使節が参列。エキュメニカル総主教庁は使徒聖ペトロ・聖パウロの大祝日にバチカンへ、これに対しローマからは聖アンデレの大祝日(11月30日)に同総主教庁へ使節を送っている。

教皇はミサ中の聖書朗読に「閉じる・開く」というテーマを見出し、説教を行われた。

マタイ福音書(16・13-19)で、イエスがシモン・ペトロに天の国の鍵を約束されたエピソードを観想された教皇は、この鍵は当然、人々の前で扉を閉ざすための鍵ではないと強調。

そして、「あなたたち偽善者は不幸だ。人々の前で天の国を閉ざすからだ」(マタイ23,13)と律法学者とファリサイ派に人々を叱ったイエスの態度を思い起こされた。

また教皇は、使徒言行録中の、ヘロデによって捕らえられ投獄されたペトロが、天使によって牢から救い出されるエピソード(12,1-11)に注目。

ペトロが牢に入れられていた間、教会では彼のために熱心な祈りが神に捧げられていたが、神はその祈りに応えて、天使を遣わしてペトロを解放されたことから、教皇は「神の御旨に託す謙虚な祈りは、常にわたしたち個人・共同体を閉鎖から脱出させる道となる」と説かれた。

ペトロの信仰とイエスから託された使命へと向かっていくその生き方は、人間的安泰、プライドを捨てて、神からいただいた信仰の恵みに自分を「開いていく」歩みであり、このペトロの解放を決定的にしたのは、「わたしはあなたのために、信仰がなくならないように祈った」(ルカ22,32)という、イエスご自身の祈りであったと教皇は話された。

教皇はさらに、ペトロが牢から救い出された後、マルコと呼ばれていたヨハネの母マリアの家に行ったエピソード(使徒言行録12,12-17)に言及。

ペトロがこの家の門をたたくと、女中が取り次ぎに出て、ペトロの声だとわかり、喜びながら人々に告げに行く。人々は容易に信じないが、ペトロが扉をたたき続けると、彼らは扉を開ける。

この場面に、恐れから家に閉じこもっていた当時のキリスト教共同体の雰囲気を感じることができると教皇は指摘。

「閉じこもる」ことへの誘惑は今日の教会にもあるが、これを祈りによって打ち破り、閉鎖から開放へ、恐れから勇気へ、悲しみから喜びへ、分裂から一致へ変えるために、外に出て行かなければならないと呼びかけられた。

 








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