2016-06-13 18:02:00

「飢餓を通常化させてはならない」教皇、国際連合世界食糧計画で


教皇フランシスコは、6月13日、国際連合世界食糧計画(本部:ローマ)を訪問された。

国連の世界食糧計画(World Food Programme,WFP)は、1961年に設立され、紛争や自然災害などの緊急事態に合わせ、必要とされる場所に食糧援助を行なうと共に、食糧を通して地域社会の復興を支援している。

同日午前、ローマ市内の世界食糧計画本部を訪れた教皇は、アーサリン・カズン事務局長らに迎えられた。

教皇はオフィス入口の「メモリアル・ウォール」に献花され、沈黙のうちに祈られた。ここには任務中に命を落とした多くの職員の名前が記されている。

WFP関係者や執行理事会加盟国の代表らと挨拶を交換された教皇は、執行理事会の年次総会で講演を行われた。

講演の冒頭で「メモリアル・ウォール」に刻まれた人々を思い起こされた教皇は、複雑な状況下においても人々に食糧を届けようとした職員たちの犠牲の証しを胸に、わたしたちは大きな目標である「飢餓ゼロ」を目指して、これからも闘い続けなければならないと述べられた。

様々なものが相互に結びつき、極度にコミュニケーションが発達した今日の世界では、地理的な距離は縮まったかのように見え、通信技術を通して、わたしたちは多くの人々の辛い状況に触れると共に、それに対する同情と連帯の行動をとることができるようになったと、教皇は指摘。

しかし、その反面、過剰な情報に接するうちに、これらの悲惨な状況が「通常化」されてしまい、他人の悲劇がわたしたちにとって「普通」になっていることを危惧された。

こうした中、多くの人々の命は単なるニュースの一部となり、そのニュースが別のニュースに切り替わっても、これらの人々の飢えや渇きは変わらぬまま、そこに残されることになると話された。

教皇は、今日のわたしたちの課題は、多くの兄弟たちの状況を知ることだけで満足せずに、その現状を「通常化させない」ことにあると強調。

一つひとつの悲惨は、子どもや、お年寄り、若者、家族、仕事の無い人、難民、家を失った人々など、それぞれの「顔」を持っていると話しつつ、教皇は多くの人々の飢えを、それは運命だ、どうにもできないと、通常化、一般化しないことが大切と説かれた。

「官僚的仕事は実務にたずさわるが、憐れみは人間にたずさわる」と述べた教皇は、わたしたちの兄弟の貧困と飢えの問題を「非通常化」「非官僚化」するために努力する必要を訴えられた。








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