2016-02-18 13:43:00

メキシコ:教皇、シウダー・フアレスの刑務所を訪問


教皇フランシスコは、2月17日、シウダー・フアレスの刑務所を訪問された。

12日から始まった教皇のメキシコ司牧訪問は、この日、最終日を迎えた。教皇はメキシコシティを後にし、同国北部の都市、シウダー・フアレスに向かわれた。

シウダー・フアレスは、リオ・グランデ川をはさんでアメリカ合衆国と接する人口およそ130万人の都市。工業の発展がめざましい一方で、移民問題や、麻薬売買、組織犯罪など多くの課題を抱えている。

教皇が訪問したシウダー・フアレスの刑務所は、メキシコで最も大きいものの一つで、約3千人の受刑者を収容する。

同日、メキシコの389の刑務所でも、受刑者たちがTV中継を通してこの訪問を見守った。

到着された教皇は、最初に刑務所内の礼拝堂で受刑者たちと祈られた。

続いて、刑務所の中庭でおよそ700人の男女受刑者との出会いを持たれた。

ここでは一人の女性受刑者が、皆を代表して、有罪判決後の苦しみや絶望、受刑生活の不安や孤独、家族を思う気持ちなどを教皇に伝えた。

教皇は受刑者たちに「暴力と犯罪の負の連鎖」を断ち切る必要を述べると共に、「いつくしみが届かない場所はなく、神が触れ得ない人間はいない」と、すべての人に及ぶ神のいつくしみを説かれた。

刑務所はしばしばわたしたちの社会の暗い闇のように思われているが、刑務所は実際には社会の状態を映し出す一つの「症状」であると教皇は指摘。

多くの場合、それは「切捨ての文化」の沈黙や怠慢が生んだ症状であり、人生に挑戦することを諦めてしまった文化、自分の子どもたちを捨ててしまった社会の症状であると話された。

教皇は、更生はこの塀の中から始まるのではなく、塀の外、すなわち町の中、社会の中から始まらなくてはならないと強調。まずは病んだ社会を作らないことが重要と述べられた。

治安問題は、刑務所への収容だけで解決するのではなく、社会全体を覆う不安定な構造と文化を是正し、子どもを学校で学ばせ、自由時間のための公共スペースを創り、市民生活に積極的に参加させることから、更生は始まると話された。

刑務所で「いつくしみの聖年」を過ごす人々に、「過去や昨日に囚われたままではいけない。未来や明日の扉を開きなさい。物事は変わってくると信じなさい」「頭を上げ、自由を目指して努力しましょう」と、教皇は力強く招かれた。








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