2015-10-26 14:11:00

シノドス、最終提言書採択し閉会、「家庭は世界の光」


バチカンで開催された世界代表司教会議(シノドス)・第14回通常総会「テーマ:教会と現代世界における家庭の召命と使命」は、最終提言書を採択し、10月25日閉会した。

10月4日に開幕したシノドスは、3週間にわたる発表・討議を行い、司教らの意見や改革案は、最終文書起草委員会によって「提言書」としてまとめられた。

24日午後の最後の全体会議では、参加司教らにより、この「提言書」に対する採決が行われた。

最終文書の提言は94項目からなり、司教たちはこれらの提言の一つひとつに対し投票した。この投票では265の票のうち177を得ることが可決のラインとなる。投票の結果、全項目が可決され、最終提言書はそのままの形で採択された。

家庭を「世界の闇における光」と定義するこの提言書は、家庭を取り巻く多くの問題を挙げながらも、それに立ち向かい乗り越えようとする家族たちの大きな力に注目している。

バチカン広報局長フェデリコ・ロンバルディ神父は、94項目のうち特に2項目が、一つは265票中賛成178票、もう一つは賛成180票と、可決ラインぎりぎりの状況で採択されたと明らかにした。

同神父によれば、これらは傷ついた家庭、あるいは教会法的な観点や教会の規律に沿わない状況に対する司牧的アプローチに関する項目であり、特に同棲や事実婚、離婚再婚者などに司牧的にどう歩み寄るかが焦点となったという。

提言書では、秘跡的な婚姻の不解消性の教義を改めて示し、それは束縛ではなく神の恵みであり、キリストご自身と、キリストと教会の絆に基づく真理であることを思い起こさせている。

同時に提言書は、キリストに集約される真理といつくしみを強調。これによって傷ついた家庭を受け入れるよう招いている。

離婚再婚者への聖体拝領について直接の言及はない。一方で、これらの人々は破門されたのではないことを思い出させ、彼らが教会の一員、兄弟姉妹としてカリスマを活かしながら豊かな教会生活を送ることができるよう配慮し、そのための個々の複雑な家庭状況の分析を通した判断を司牧者に委ねている。

その際、複雑な家庭状況に対する司牧者の判断は、教会の教えに沿ったもので、神のいつくしみは誰も排除しないということへの信頼を伴わなければならないとしている。

同棲するカップルに対しては、建設的な方法でその状況と向き合い、福音の光のもとに、それが結婚・家庭というより完全な形に向かうための、回心の歩みとなるよう導く必要に触れている。

また、提言書の中で重要な点として、同性愛者についての箇所がある。同性愛の傾向を持つ人々は尊重をもって受け入れられるべきであり、不当な差別があってはならないとし、家族に同性愛者がいる家庭に対する特別な配慮を説いている。

しかしながら、同性婚については、これを結婚と家庭についての神の計画と同様と見なすことはできないと述べている。

提言書は、女性、男性、子ども、若者、高齢者など家族の要員のそれぞれの役割を活かすように招き、特に女性が家庭と社会において果たす役割の重要性を強調している。

子どもについては、養子制度を、子どもにとって失われた家族関係を再構築するものとして評価している。

シノドスは、お年寄りや、配偶者を亡くした人、障害者らにも思いを寄せ、家庭において信仰を伝えるその役割、排除の文化からこれらの人々を守る必要を指摘した。

今日の家庭を脅かす要素として、提言書は、キリスト教に敵意を持つ政治・宗教的狂信、個人主義の蔓延、ジェンダー理論、紛争、貧困、不安定な就労、教育・文化から家庭を排除する経済的強制、人間ではなく金銭を中心に置く風潮などを挙げている。

提言書は、特に若者たちの結婚準備の司牧的過程を強化する必要を示すほか、受胎から自然の死に至るまでの命の保護を訴えている。

シノドス司教らは、世界中の家庭の希望と喜びと共に、この提言書を教皇フランシスコに託したいと述べ、これに対する教皇の勧告を仰いだ。

 








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