2015-06-11 17:50:00

「必要な食糧の確保はすべての人の権利」教皇、FAO総会参加者に


教皇フランシスコは、6月11日、国際連合食糧農業機関(FAO、本部:ローマ)の関係者とお会いになった。

FAOは、6月6日から13日まで、第39回総会を開催している。この日、会議参加者らはバチカン宮殿を訪れ、教皇との出会いを持った。

参加者らへの挨拶で教皇は、貧しさに苦しむ多くの人々を前に、飢餓と農業発展の問題は、この危機の時代において重要な課題の一つとなっていると強調。

日ごとの食事にも事欠く人々が増える一方で、それに取り組むこと無しに、他の国や政府、国際組織が対応すべきことと、責任をあらゆるレベルで他に転嫁する傾向が見られることを教皇は遺憾とされた。

「必要な食糧の確保はすべての人の権利」であると述べた教皇は、誰もがこの権利から除外されることがないよう、この問題への真剣な取り組みをアピールされた。

多くの飢える人々がいる一方で、生産された食品の3分の1が無駄にされているという現実、また大量の農産物が、人々の飢えを癒すこと以外の、別の目的に使用されている現状を教皇は見つめられた。

人々がいっそうの決意をもって生活スタイルを変えることに取り組むならば、より少ない資源で生活が可能だろうとしながら、シンプルな生活様式は発展の妨げとならず、むしろいまや発展に必要な一つの条件となっていると指摘された。

また、教皇は食糧の値上がりにも注目。近年、農産物の価格は、倍増したり、安定したりと、動きを持ちながらも、過去に比べて常に上昇し続けている状況に、気候変動のみならず、市場における投機の影響を認められた。

気候変動とそれに伴う人口移動は、多くの人道的悲劇を生んでいるが、中でも水の権利をめぐる紛争がこれからますます増加することを教皇は懸念されつつ、水問題への対応と、水資源を大切に利用することが必要と述べられた。

さらに、教皇は農地問題にも言及。国際的企業や他の国々による農地の買占めが、農業従事者たちから生活財産を取り上げてしまうだけでなく、国の主権をも傷つける原因となりかねず、すでに多くの地域で食糧は国外に流れ、現地の住民は土地も食糧もない状態に置かれていることを憂慮された。

人類家族の発展と未来のために、毎日の小さなことから生活スタイルを変えていかなければならないと述べた教皇は、他の目的に惑わされることなく、飢えと闘って行こうと呼びかけられた。








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