2013-03-19 17:26:58

教皇フランシスコの着座式「ローマ司教の権力とは奉仕」「自然や人間を守り、キリストを生活の中で守る」



カトリック教会の典礼暦で聖ヨゼフの大祝日を祝った19日、教皇フランシスコの教皇職開始を記念するミサがとり行われた。

教皇の着座式を共に祝おうと、バチカンの聖ペトロ広場をはじめその一帯には、およそ20万人の信者が朝早くから続々と訪れた。

前日まで不安定な天候に見舞われたローマは、この日は春らしい暖かな日差しに恵まれ、透き通った空が聖ペトロ大聖堂の白さを際立たせていた。

ミサの前に教皇はジープで広場を一巡され、人々に祝福をおくられた。会衆の歓迎は熱く、教皇は時おり車を止めさせ、人々に親しく挨拶したり、子どもに接吻を与えるなどされていた。教皇フランシスコの故郷アルゼンチンの白と水色の旗はもとより、広い会場にひるがえる色とりどりの国旗が、教会の普遍性を象徴していた。

このミサには130カ国以上から使節が訪れ、31カ国の国家元首、6カ国の君主、3カ国の皇太子、11ヶ国の首相をはじめ、各国の閣僚や大使などが参列した。日本からは安倍総理大臣の特使として、森元総理大臣が出席した。また、諸キリスト教教会や、ユダヤ教、イスラム教、仏教など諸宗教の代表者らも多く参加した。

教皇フランシスコは、東方カトリック典礼の総大司教らと共に、聖ペトロ大聖堂地下に降り、初代ローマ教皇、使徒聖ペトロの墓前にひざまずき、長い祈りを捧げられた。

この後、2人の助祭が、この礼拝所の壁がんから、「パリウム」と「漁夫の指輪」、そして福音書を取り出した。

再び大聖堂の本廊に上がった教皇は、諸聖人の連祷が厳かに響く中、枢機卿たちを前にし、ご自分は最後尾を牧者のシンボルである司教杖を持って行列し、群衆が待つ広場に進んでいった。

大聖堂前の座についた教皇は、プロトディアコノのトーラン枢機卿からパリウムを、続いて枢機卿団主席ソダノ枢機卿から漁夫の指輪を受け取られた。

パリウムは聖アグネスの日に祝別された子羊の毛を織って作った幅細の帯状のもので、白い生地の上にはキリストの聖痕を表す5つの赤い十字が刺繍されている。祭服の上からY字型に両肩に掛け、十字架の釘を表す3つのピンで留める。これを肩に掛けることは羊を背負った善き羊飼いの姿を象徴する。

一方、漁夫の指輪は、イエスが漁師ペトロに言った「わたしについて来なさい。人間をとる漁師にしよう」という(マタイ4、19)という言葉を思い起こさせるもの。教皇フランシスコが選んだ指輪は、イタリア人彫刻家がかつてパウロ6世のために作った指輪と同じデザインであるが、パウロ6世はこの指輪を使用していない。指輪の表面には鍵を持った聖ペトロ像が描かれている。

おとめマリアの浄配にして普遍の教会の保護者である、聖ヨゼフの大祝日に捧げられたこのミサの説教で、教皇は「保護者・守る人」としての聖ヨゼフの召命を観想。

神に耳を傾け、神の御旨に忠実な聖ヨゼフ、託された人を守り、出来事を読み取り、賢明な判断ができる聖ヨゼフに、神の召し出しに答えるということはどういうことかを学ぶよう、また「キリストをわたしたちの生活の中で守る」というキリスト者の召命を生きるよう、すべての信者を励まされた。

教皇は「守る」という召命は、キリスト者に留まらず、人類全体に関わるものと述べ、美しい自然、自分たちが生活する環境を守り、お年寄り、子どもたち、弱い立場にある人々など、すべての人間を守ることの大切さを強調。

政治・経済・社会の分野で責任的立場にある人々に、命や人や自然を守り、世界の歩みに破壊と死が影を落とすことがないように願われると共に、すべての人に、自分自身の心を守り、人生を汚す憎しみや妬みではなく、優しさや思いやりを持つようにと勧められた。

ペトロの後継者としての任務を始めるにあたり、教皇はイエス・キリストがペトロに与えた権力とは何かと問いながら、イエスがペトロに言った「わたしの羊の世話をしなさい」という招きを示し、「真の権力とは奉仕であることを忘れてはならない」と説かれた。

教皇フランシスコは、説教の終わりに「わたしのために祈ってください」とすべての人々に願われた。

ミサ終了後、教皇は聖ペトロ大聖堂内で、世界各国の代表者に挨拶をおくられ、一人ひとりの手を取りながら、親しく言葉を交わされた。








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